妊娠中は心と体に大きな変化が起こり、妊娠の喜びや出産の楽しみ、また不安やストレスを感じていらっしゃることと思います。
お口の中でも大きな変化が起こりやすい時期で、歯肉が腫れたり虫歯ができたりとお口の中のトラブルが起こりやすくなります。
特に妊娠初期はつわりの影響で口の中が酸性になりやすく、虫歯の発生率が高まり、進行しやすくなります。
また、ホルモンバランスの変化により歯肉が腫れ、歯肉炎・歯周病になるリスクも高まります。
妊娠中に歯科治療を行うことはできますが、行える治療が限られてしまう事があるので症状が出る前に定期健診などでお口の中の環境を整えて赤ちゃんを迎える準備をしていただければと思います。
妊娠中の方、妊娠の可能性のある方は必ず事前にお申し出ください。
1.治療の時期
基本的に治療ができない時期はありません。
しかし、治療で使用する麻酔等の影響を考えると妊娠中期(16週から28週)が歯科治療には好ましいです。
妊娠初期や、後期の治療は応急処置・予防処置に留め、お身体が落ち着いた時期に治療を行う事をお勧めします。
2.妊娠中の治療
妊娠中期であれば麻酔を使用しての歯科治療を行う事ができます。
抜歯などの外科処置は出産までに症状が悪化しやすく、緊急性が高いものであれば行いますが、出産まで応急処置で対応できる場合は出産後に治療を行います。
レントゲンの検査は必要最小限に行います。
当院で使用しているデジタルレントゲンは従来のレントゲンに比べ放射線の影響が少なく、1~2日間に太陽から浴びる放射線量と同程度です。
撮影時には防護衣を着用していただくので、おなかの赤ちゃんに直接放射線が当たる事はありません。
治療中に気分が悪くなったり姿勢が苦しい時はお気軽にお申し付けください。
3.生まれてくる赤ちゃんのために
生まれた直後の赤ちゃんの口の中には虫歯菌も歯周病菌もいません。
歯が生え始めてから3歳くらいまでに虫歯菌が定着しなければ、お子さまが将来虫歯になる確率が下がると言われています。
赤ちゃんにとってこの時期のスキンシップはとても大切です。
お母さんだけでなくお父さんの口の中も虫歯治療を完了し、口腔内を清潔に保ちお子さまとのふれあいを楽しんでください。