歯を抜歯した、抜歯しなければいけない歯がある。その後の治療法の一つにインプラント治療があります。インプラント治療は失ってしまった自分の歯に近い噛み心地、自然感を兼ね備えた最新の治療法です。
・入れ歯を作ったけどなかなかうまく使えない
・自分の天然の歯を削りたくない
・残っている歯に負担をかけたくない
・もっと噛めるようになりたい
インプラント治療を行うことによってこれらを改善できます。
1.インプラントとは
天然歯は歯根膜という組織を介して顎の骨の中に強固に固定されています。
インプラント治療は天然の歯と同じように顎の骨の中に人工歯根であるチタン製のインプラントを埋め込み、新しく人工の歯を作っていく治療です。
天然の歯と同じように顎の骨が噛む力を支えるので、入れ歯とは違い堅い食べ物でもしっかり噛み砕く事ができます。
2.インプラント治療の流れ
(1)CT撮影、治療方針の説明・決定
インプラント治療をする上で十分な顎骨が残っているかを立体的に診断するためCTの撮影を行います。
通常のレントゲンでは解らない骨の厚みや形態、神経の位置を詳しく知ることができます。
お口の中の状態、かみ合わせ、CT検査の結果を踏まえ、どこに何本のインプラントが必要か、治療期間、治療にかかる費用の説明をします。
(2)インプラント埋入
顎の骨の中にインプラントのフィクスチャーを埋め込みます。
局所麻酔下にて処置を行いますので処置中に痛みを感じることはほとんどありません。
インプラントを入れる本数にもよりますが、通常1~3時間程度で治療は完了します。
入院などの必要はなく、当日から処置部位を避けお食事をとっていただけます。
処置後は激しい運動や刺激物の摂取は控えてください。
治癒経過をみながら消毒、抜糸を行います。
(3)アバットメント、上部構造の装着
インプラント埋入後2~6カ月経つとインプラントが顎骨と強固に結びつきます。
インプラント部に人工歯の支えになるアバットメントを装着し型取りを行い、ご自身のかみ合わせに合った人工歯を装着します。
アバットメントの装着後約1~2週間で最終の人工歯が装着できます。
(4)インプラントのメンテナンス
インプラントは天然の歯より歯周病に対する抵抗力が弱くなる傾向があります。
インプラントは虫歯にはなりませんが、天然歯を守るのと同じように定期的にプラークや歯石の除去を行い、きちんと調和のとれたかみ合わせが維持できているか確認する必要があります。
3.インプラントとブリッジ
・インプラントもブリッジもしっかり噛む事ができる
・インプラントは周りの歯に負担をかけない
・ブリッジは周りの歯を削らないといけない
・ブリッジは保険治療で作ることもできる
・適応範囲が広いのはインプラント
・インプラントは外科治療が必要
・治療期間が短いのはブリッジ
・インプラントの方が長持ちしやすい
インプラントもブリッジも噛む力を顎の骨で支える事ができるのでどちらも違和感なく硬い食べ物でも噛む事ができます。
治療の適応範囲はブリッジよりもインプラントの方が広いので、欠損歯が多くブリッジができない様な方でもインプラント治療をする事により入れ歯治療を回避できます。
ブリッジは欠損部の前後に歯がないとできないので、特に同じ部位の大臼歯を2本失ってしまった場合はインプラントの最適応になります。
ブリッジの特徴は治療期間を短くでき、外科処置が必要ではないので身体に対する負担も少なくなります。銀歯のブリッジであれば保険治療で治すこともできます。
銀歯のブリッジが虫歯になってしまったので欠損部にインプラント治療を行い前後の歯をセラミックで治療しました。
インプラントを入れることにより前後の歯の負担が軽減し、手入れもしやすくなり虫歯になりにくくなります。
4.インプラントと入れ歯
・どちらも適応範囲が広い
・インプラントの方が違和感が少なくよく噛める
・治療期間が短いのは入れ歯
・入れ歯は保険治療でも作れる
・インプラントは周りの歯に負担をかけない
・インプラントは外科治療が必要
入れ歯と比較してのインプラントの特徴は入れ歯は歯茎で噛む力を支えるのに対し、インプラントは顎の骨で噛む力を支えるので天然の歯と同じような感覚でお食事をすることができます。
また、基本的に失った歯だけを作るので口の中の異物感が感じにくくなります。
入れ歯の特徴は外科処置を行えない方でも治療する事ができ治療期間も短くすみます。また、保険治療で入れ歯を作ることもできます。
入れ歯を使用していましたが、インプラントを行うことにより口の中の違和感が少なくなり、堅い食べ物でも噛みやすくなりました。
5.顎の骨が少なくインプラントを支えられない場合
レントゲンやCT検査の結果、顎の骨が少なく、そのままではインプラント治療が行えない場合、顎の骨を作ってからインプラント治療を行う事があります。
骨の量があまりにも少ない場合インプラント治療ができない事もあります。
6.インプラントのデメリット、向かない人
・外科処置が必要になる
・保険適用されない
・糖尿病の方やヘビースモーカーの方はインプラントが定着しにくい
・必ず骨に結合するわけではない
・治療期間が長い
インプラント治療はブリッジ治療や入れ歯治療と比較してさまざまなメリットがあります。
しかし、全てにおいて万能な治療法ではなく状態によってはブリッジや入れ歯が向いている事もあります。
皆さま一人ひとりに合った治療方法を選んでいく中で一つの治療法としてインプラント治療を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。